予防接種について
山本尚
予防接種は本来人間(動物)に備わっている免疫力(抵抗力)を高め、ウィルスや細菌による病気から身を守る大変有効な予防手段です。
現在、生後2ヶ月から様々なワクチンが接種可能となっています。
医院でお渡ししている資料や、下記の関連サイトを参考に予防接種についての正しい知識を身に付けて、防ぐことのできる病気(VPDといいます)から大切なお子さんを守ってあげましょう。
予防接種は主に健康外来(火曜、金曜の午後2時〜3時45分)で行っていますが、この時間に来院が難しい方は一般診察時間でも受け付けていますので直接受付窓口に電話で予約をしてください。
予防接種来院時の注意
- 予防接種前日、当日に発熱や体調悪化が見られる場合は、事前に受付にお電話して相談してください。
- 来院前までに自治体から配布された予防接種についての案内を必ずお読みください。予診票をお持ちの方はあらかじめ記入しておいていただけるとスムーズです。
- ご兄弟など複数で接種に来院される場合は、診察室にはお一人ずつ入っていただく場合がありますのでできるだけ複数の保護者の方が付き添っていただくようお願いします。
ワクチンについてのQ&A
Q1.予防接種は必ず受けなくてはいけないのでしょうか?
予防接種を受けた「個人」にはワクチンによって免疫ができ、感染症にかかったり、重症化したりするのを予防することができます。さらに、多くの人が予防接種を受け免疫を得ることで、「社会」全体で感染症の流行を防ぐことができます。
ワクチンの必要性と有効性をご理解していただき、特に小さな子供さんはそのワクチンが接種可能な年齢になればできるだけ早めに接種を進めていくようにしてください。
Q2.ワクチンの効果ってどれくらいあるのですか?副作用も心配なのですが
現在日本で子供さんがワクチンを受けることによって防げる病気(Vaccine Preventable Diseases = VPD)は18種類にまで増えました。昭和生まれの私たちの年代の人にとっては「はしか」はありふれた病気で、亡くなる子供も少なくない怖い感染症でした。ワクチンのおかげで今では稀な病気になっていますが、決してなくなった訳ではなく、主に成人での流行が毎年報告されており、小児への感染の拡大が懸念されています。また近年ではヒブワクチンや小児肺炎球菌ワクチンが実施されるようになり、これらの細菌が原因となっていた細菌性髄膜炎が10分の1にまで減少しました。実際、当院でも以前は年に1-2人みられた患者さんがここ5年間以上出ていません。劇的な効果と恩恵を実感しています。
ワクチン接種後の副反応の多くは接種した場所が赤く腫れたり、すこし熱が出る程度の軽い反応が数%の頻度で見られることがあります。重篤な反応はワクチンによっても違いますが、数百万接種に1回程度と極めて低く、すべてがワクチンが原因と証明されたものではありません。ワクチンを接種した時の副反応とワクチン接種をしないでその病気にかかった時の症状を比べると自然にその病気に感染した時のほうがずっと危険性が高いと言えます。
Q3.新生児ですがワクチンの接種スケジュールについて教えてください
下記は生後2か月からのワクチン接種のスケジュールの一例です。
当院では重要なワクチンの免疫をできるだけ早く付けるため、基本的に同時接種でのスケジュールをお勧めしています。
- 生後2か月~
- 5種混合①、PCV(肺炎球菌ワクチン)①、B型肝炎①、ロタ①
- その4週間後
- 5種混合②、PCV(肺炎球菌ワクチン)②、B型肝炎②、ロタ②
- その4週間後
- 5種混合③、PCV(肺炎球菌ワクチン)③、ロタ③
- その4週間後かつ生後5か月~
- BCG
- 生後7-8か月~
- B型肝炎 ③
- 生後1歳~
- MR1期、5種混合追加、PCV追加
- その4週間後~
- 水痘とおたふくかぜワクチン1回目
- 1歳半前後~
- 水痘の2回目
- 3歳
- 日本脳炎初期(2-4週間隔で2回)
- 4歳
- 日本脳炎追加
- 年長園児(6歳)
- MR2期、おたふくかぜ2回目
ワクチンの種類
定期接種
法律で定められたワクチンを決められた期間や回数に従って行うもので、市町村が実施しており原則無料で受けられます。
令和6年4月より5種混合ワクチンが定期接種となりました。
(令和6年4月1日 更新)
ロタウイルスワクチン ロタテック(5価) |
6週~32週で3回(飲むワクチンです) ※初回は14週6日までに接種しましょう |
---|---|
ロタウイルスワクチン ロタリックス(1価) |
6週~24週で2回(飲むワクチンです) ※初回は14週6日までに接種しましょう |
5種混合ワクチン DPT+IPV+Hib (ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・ヒブ) |
初回: 2か月~4週間隔で3回 追加: 1才~(3回目接種から6か月~18か月あけて) |
小児の肺炎球菌ワクチン | 初回: 2か月~ 4週間隔で3回 追加: 1才~(3回目接種から60日あけて) |
B型肝炎ワクチン | 1回目: 2か月~ 2回目: 1回目接種から4週あけて 3回目: 1回目接種から20~24週あけて (1歳未満が定期接種です) |
四種混合ワクチン DPT-IPV (ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ) |
初回: 2か月~ 3週間隔で3回 追加: 1才~(3回目接種から1年あけて) |
ヒブワクチン Hib (インフルエンザ菌b型) |
初回: 2か月~4週間隔で3回 追加: 1才~(3回目接種から7か月あけて) |
MRワクチン(麻しん・風しん) | 1期: 1才 ※お誕生日がきたら早めに接種しましょう。 2期: 幼稚園・保育園の年長さん(5~6才) |
水痘ワクチン | 1才~ 約半年あけて2回 (3歳未満が定期接種です) |
日本脳炎ワクチン | 1期: 3才~ 1週~4週あけて2回 1期追加: 2回目接種から1年あけて1回 2期: 9~12才 |
二種混合ワクチン DT (ジブテリア・破傷風) |
11才~12才 |
子宮頸がんワクチン | 中学1年~高校1年の間に合計2回または3回 |
ロタテックとロタリックス
当院ではロタテックを採用していますが他院で1回目をロタリックスで接種された方はロタリックスを接種いたします。
水痘ワクチン
3才以上は任意接種で有料となります。
すでに水痘にかかったことのある場合は定期接種の対象外となります。
日本脳炎
H7年~H18年度生まれの方は、接種差し控えにより接種の機会を逃していることがあります。
H7年4月2日~H19年4月1日生まれの方は20歳になるまで定期接種として接種可能ですので、ご確認の上お問い合わせください。
任意接種
定期接種以外のワクチンや定期接種になっているワクチンでも定められた期間を外れて接種する場合で、自己負担となります。
お住まいの自治体で助成がある場合は自治体にお問い合わせの上、助成の書類をお持ちください。
※負担額については窓口またはお電話にてご確認ください。
おたふくかぜ | 1回目:1才~ 2回目:幼稚園・保育園の年長さん(5~6才) ※1回目接種から3年以上あけて |
---|---|
インフルエンザ | 生後6か月~13歳未満: 2~4週間隔で2回接種 13歳以上: 1回接種 |
新型コロナワクチン | 令和6年4月より高齢者の定期接種以外は任意接種(自費)となります。 |
ポリオ | 5回目:幼稚園・保育園の年長さん(5〜6才) |
A型肝炎 | 海外渡航時などに随時接種 |
狂犬病 | 海外渡航時などに随時接種 |
ポリオ
H30年8月〜日本小児科学会で接種を推奨しています。